「10倍がゆは古い」という内容を目にしたことはありませんか?
実際に調べてみると、10倍がゆである必要がないだけでなく、栄養面でも問題があることがわかりました。
この記事では、10倍がゆが古いと言われる理由や離乳食の歴史・離乳食初期に作るおかゆのレシピを紹介します。
5〜6ヶ月に離乳食を始める理由
離乳食を始めるのが5〜6ヶ月の理由は、赤ちゃんに必要な栄養が増えるためです。
母乳やミルクは新生児の時に飲むビタミンKを除いた、ほぼ「完全栄養食」。
しかし、5〜6ヶ月ごろになると必要な栄養が増え、母乳・ミルクでは補えなくなります。
ビタミンやカルシウム・鉄分などは不足しやすいため、離乳食で補っていくことが大切なため、この頃を離乳食の開始時期とされているのです。
10倍がゆが古いと言われる理由
離乳食を始める時には、決まり文句のように「10倍がゆから〜」と言われます。
しかし、最近では「10倍がゆは古い」という内容を目にしませんか?
なぜ「10倍がゆは古い」と言われるのか、2つの理由を紹介していきます。
理由1:国が出している案内表記には「つぶしがゆ」
母子手帳や「厚生労働省の離乳食ざっくりスケジュール」には、10倍がゆとは書かれていません。
「つぶしがゆ」とだけ書かれています。
なので、実際はおかゆの濃さではなく、トロッとしたなめらかなペースト状かが大切なのです。
つぶしがゆの濃度は、ジャムやヨーグルトのようなスプーンの上に留まってくれるくらいの硬さが目安とされています。
理由2:栄養が少ない
上記の図でもわかるように、10倍がゆは母乳やミルク・5倍がゆ(全がゆ)と比べ栄養が少ないです。
全がゆの倍の水量で炊いているので、半分でも納得ですね…
およそ半分の栄養になってしまうので、本来の目的である「栄養を補う」を行うことは難しいでしょう。
WHOの「補完食」ガイドを見てみると、食事の必要性や進め方などが細かく明記されているので、1度は読んでみるのをおすすめします。
なんで10倍がゆと言われるようになったのか
日本で初めて離乳の指針「離乳基本案」を作ったのは、昭和33年(1958年)。
今から60年以上も前です。
10倍がゆや7倍がゆは、その時に作られた規格です。
その後、指針が改正されたのは昭和55年(1980年)と、20年以上も経過してからでした。
改正内容には、10倍がゆとは記載されずに調理形態を示した記載に変わっています。
昭和33年から、現在に至るまでの変化を紹介します。
昭和33年(1958年)「離乳基本案」
- 離乳食開始時期:穀物を開始食として満5か月
- 完了時期:満1歳(エネルギーの60〜70%を離乳食で補い、牛乳か粉乳を300ml摂取する)
- 食事回数:全期を通じ、乳汁含めて5回食。そのうち5ヶ月は1回、6〜8ヶ月:2回、9ヶ月以降:3回
- 進め方:穀物→卵黄→野菜、魚
- 調理形態:10倍がゆや7倍がゆの規格を作った
昭和55年(1980年)「離乳の基本」
- 離乳食開始時期:満5ヶ月(前後1ヶ月のゆとりを考えている)
- 完了時期:満1歳(牛乳か粉乳を400mlほど摂取する)
- 食事回数:5ヶ月は1回、6〜8ヶ月:2回、9ヶ月以降:3回
- 進め方:食品の順序にこだわらず、進行過程に応じて食べやすく調理してあれば良い(一般的には「つぶしがゆ」などの穀物が使用される)
- 調理形態:5ヶ月:ドロドロしたもの、7〜8ヶ月:舌でつぶせる固さ、9〜11ヶ月:歯茎でつぶせる固さ
平成7年(1995年)「改定 離乳の基本」
- 離乳食開始時期:5ヶ月ごろが適当(早くても4ヶ月、遅くても6ヶ月に開始するのが望ましい)
- 完了時期:12〜15ヶ月、遅くても18ヶ月(牛乳か粉乳を300〜400mlほど摂取する)
- 食事回数:開始1ヶ月は1回、1ヶ月以降:2回、9ヶ月以降:3回
- 進め方:食品の種類や調理方法・バランスを細かく明記
- 調理形態:5ヶ月:ドロドロ状、7〜8ヶ月:舌でつぶせる固さ、9〜11ヶ月:歯茎でつぶせる固さ、12〜15ヶ月:歯茎で噛める固さ
参考資料:厚生労働省「改正 離乳の基本」
平成19年(2007年)「授乳・離乳の支援ガイド」
- 離乳食開始時期:5、6ヶ月ごろが適当
- 完了時期:12〜18ヶ月(子ども の離乳の進行及び完了の状況に応じて与える)
- 食事回数:開始1ヶ月は1回、1ヶ月以降:2回、9ヶ月以降:3回
- 進め方:食べ方の目安や食材の増やし方・調理方法や味付けを細かく明記
- 調理形態:5ヶ月:なめらかにすりつぶした状態、7〜8ヶ月:舌でつぶせる固さ、9〜11ヶ月:歯茎でつぶせる固さ、12〜18ヶ月:歯茎で噛める固さ
参考資料:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
平成31年(2019年)「授乳・離乳の支援ガイド」改定
- 離乳食開始時期:5、6ヶ月ごろが適当(月齢はあくまでも目安、子どもの食べたがっているサインに気づくことが大切)
- 完了時期:12〜18ヶ月(母乳やミルクは、離乳の状況に応じて与える)
- 食事回数:生後5〜6ヶ月:1回、生後7〜8ヶ月:2回、9〜11ヶ月:3回
- 進め方:食材の種類や組み合わせ・調理方法を細かく明記
- 調理形態:5ヶ月:なめらかにすりつぶした状態、7〜8ヶ月:舌でつぶせる固さ、9〜11ヶ月:歯茎でつぶせる固さ、12〜18ヶ月:歯茎で噛める固さ
参考資料:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)
つぶしがゆの作り方
母乳やミルクとエネルギー量のあまり変わらない、全がゆで作るつぶしがゆの作り方を紹介します。
全がゆとは大人が食べるおかゆと同じもので、5倍がゆともいいます。
全がゆ=5倍がゆ、5部がゆ=10倍がゆです。
ややこしいですね…
炊飯器で作る場合
全がゆ・5部がゆは炊飯器で簡単に作ることができます。
私の自宅にある炊飯器では、全がゆ0.5・1合、5部がゆ0.5のみでした。
おかゆは全がゆ0.5合でも、かなりの量ができるので注意しましょう。
冷凍した場合、1週間を目安に使い切るのがいいので、あまりは大人が食べます(^^)
作り方
- 炊きたい分のお米を研ぐ
- おかゆの水分ラインまで水を入れる
- おかゆモードに設定して、炊飯開始
- 炊けたら保温はせず、すぐに取り出し、ブレンダーなどでなめらかにする
- 粗熱が取れたら冷蔵・冷凍などの保存をする
- 食べるときはレンジなどで加熱し、硬さが気になったら出汁などで少しのばす
お鍋で作る場合
レシピ
- お米:30g(大さじ2)
- 水:150ml
- お米1:水5の比率で全がゆが作れます。
作り方
- 炊きたい分のお米を研ぐ
- 鍋にお米と水を入れ、20〜30分浸水させる
- ふたをして強火にかける
- 沸騰したら弱火にし、吹きこぼれないようふたを少しずらし約40〜50分煮る
- 柔らかくなったら火を止めてふたをし、10分ほど蒸らす
- ブレンダーなどを使いなめらかにする
- 粗熱が取れたら冷蔵・冷凍などの保存をする
- 食べるときはレンジなどで加熱し、硬さが気になったら出汁などで少しのばす
全がゆの作り方を覚えれば離乳食後期まで使えるので、便利です!
少ない量を作りたい場合は、炊飯器よりもお鍋のほうが楽ですね。
まとめ
娘の離乳食が始まり、目安という名の決まりごとの多さに驚きました。
口を揃えて言われる10倍がゆに疑問を感じ、調べたところ10倍がゆである必要はないことを知ることができました。
なので、離乳食を初めて2週間程度ですが全がゆを与えていますが、問題なく食べています。
この記事が、離乳食について調べている方の参考になれば幸いです。
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